出稼せぎ労働者の母国への送金の効果とは
■メモ
出稼ぎ労働者を送り出す母国・母村への効果についてまとめます。
これらは出稼ぎ労働者を受け入れることが送り出し国への経済支援、経済成長に繋がるのか?を考える上で重要なポイントになります。
■労働者送金の効果
⇒長期と短期に分かれる、正と負の効果がある
■マクロ経済への短期的影響
(正の効果)
・送金を受取る国の消費が平準化する。
・消費の平準化によってGDPの変動が緩和する。
(負の効果)
・送金による可処分所得の増加が労働供給のインセンティブを低下させ、国内労働市場での労働供給を減らす。
・労働供給の低下により、賃金が上昇する。
・実質為替レートを増価させる。
⇒サービスのような国内でしか供給できない非貿易財と輸出入可能な貿易財の相対関係で実質為替レートは決まる。送金は可処分所得を増やし、非貿易財、貿易の消費を増加させる。両方の財の消費が増えると貿易財の価格は変化しないが、非貿易財の供給が弾力的ではない為、非貿易財の価格が上昇する。よって、それぞれの財の相対価格関係から実質為替レートは増価する。
・オランダ病
⇒非貿易財の相対価格の上昇は、非貿易財の限界収益率を上げる為、労働などの生産要素が非貿易財の産業へ移転する。またこの際同時に労働者の賃金は上昇している為、輸出財は競争力が低下する。国外からの資金フローが生産投資に向かえば、オランダ病の効果は小さくなるが、消費に向かえばオランダ病の効果は大きくなる。
■マクロ経済への長期的影響
・長期的には技術進歩、投資・資本蓄積、金融発展に影響を及ぼす。
(負の効果)
・オランダ病は貿易財の競争力を低下させる為、製造業などが発展するのを阻害し、技術進歩を妨げ、経済成長に負の効果を及ぼす。
(正の効果)
・家計の資金製薬の緩和は投資、資本蓄積に繋がり、経済成長に正の効果を及ぼす。この投資には人的資本、教育投資も含まれる。
・送金が金融部門を経由することで、規模の経済が働く金融産業では金融仲介の効率性が上昇する。例えば、送金による銀行利用者の増加は、銀行の窓口増加に繋がり、結果として銀行利用者が増えるなどが挙げられる。
以上!